「育児休業の取得を阻む壁」を取り除くために
・これまで前例がないため、男性の育児休業取得に不安がある
・自社が抱える3つの壁の解決策
・管理職への研修実施
社内初の育児休業を取得している女性従業員がいます。既に育休復帰支援プランの策定及び、育児休業取得時の両立支援等助成金の申請も順調に進んでおり、あと数か月で復帰予定です。
一方で、男性の育児休業に関しては、現在のところ取得した従業員がいません。育児休業取得中の収入面の心配や、現場の生産性などに不安があることから、どのように育児休業制度の取得を促進していけばよいかが課題となっています。
男性従業員が育児休業を取った場合、生産性が下がるのではないかとの心配があることをプランナーへ伝えたところ、多くの企業が抱える「3つの壁」について説明を受けました。
1つ目は、この仕事は自分にしかできないという意識や、自分がやらないといけないという責任感から生じる「業務遂行の壁」。
2つ目は、育児休業中に給付金の受給だけで生活できるのかと、収入への不安感から生じる「経済面の壁」。
3つ目は、社内に男性育休取得者がおらず、育休を取ったら職場でどう思われるのかという悲観的な思いから生じる「職場環境の壁」。
まさに自社の抱える課題と一致していました。
それぞれの壁に対する具体的な解決策を提示してもらいました。
「業務遂行の壁」に対しては、業務の棚卸しを行い仕事の見える化をする、また属人的な業務を減らし分担する。
「経済面の壁」に対しては、要件はあるものの社会保険料が免除されるケースがあり、その場合は、育児休業給付金と合わせて、約80%の収入になること。
「職場環境の壁」に対しては、社内規定の整備を行い、育児休業制度について社内に発信して周知を図ること。
そのアドバイスをもとに、社内規定の見直しや雇用環境整備を行うとともに、男性の育児休業取得を促進するために制度を周知する掲示物を貼り出しました。掲示内容は必要に応じて見直しを行い、産後パパ育休の内容を掲載したところ、男性従業員から詳しい話が聞きたいと申出がありました。初めての申出に対し、対応への不安があったため、1回目支援から約4か月後に2回目の支援を申し込みました。
プランナーの助言を参考に、申出のあった男性従業員に対し、人事担当から産後パパ育休についての説明と、具体的な取得方法などについて伝えました。
また、男性従業員の所属する部署内においては、男性従業員が育児休業を分割で取得することを直属の上司が報告、休業中は部署内全体で業務を分担して行うことを説明し、スムーズに業務の引継ぎをすることができました。
同時期に社内の管理職を集め、男性の従業員から育児休業取得を申し出ていることを人事担当から伝え、育児休業制度や取得方法などについて知識を深めるための研修を行いました。
2回の支援を通して、雇用環境を整え従業員に育児休業制度の周知をすることにより、男性の育児休業取得につなげることができました。その結果、管理職を含め従業員の意識に大きな変化があったと実感しています。